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残留農薬 基礎講座② 「農薬の残留基準値の決め方」

かぼちゃ

残留農薬 基礎講座 第2回目は「農薬の残留基準値の決め方」です。

~第3回目は「環境への安全性の評価」です。~

 

2.農薬の残留基準値の決め方

(1)残留農薬とは

農薬は、病害虫や雑草などの防除、作物の生理機能の抑制などを目的として農作物に散布されますが、目的とした作用を発揮した後、ただちに消失するわけではありません。

このため作物に付着した農薬が収穫された農作物に残り、これが人の口に入ったり、農薬が残っている農作物が家畜の飼料として利用され、ミルクや食肉を通して人の口に入ることも考えられます。このように農薬を使用した結果、作物などに残った農薬を「残留農薬」と言います。この残留農薬が人の健康に害を及ぼすことがないように、農薬の登録に際して安全性に関する厳重な審査が実施されています。

(2)残留農薬の毒性評価

農薬の登録申請時に提出される毒性試験成績の結果から、人がその農薬を毎日一生涯にわたって摂取し続けても、現在の科学的知見からみて健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量(一日摂取許容量, ADI:Acceptable Daily Intake)及び人がその農薬を24時間又はそれより短い時間経口摂取した場合に健康に悪影響を示さないと推定される一日当たりの摂取量(急性参照用量, ARfD:Acute Reference Dose)が設定されます。

(3)一日摂取許容量(ADI)及び急性参照用量(ARfD)の決め方

ADI及びARfD設定のためには、まず、ラットやマウスの動物を用いた毒性試験を実施します。各々の毒性試験では、明らかな毒性変化を起こす用量及び毒性変化が認められない用量を求めます。ADIの設定の際には主に長期毒性試験などで認められる毒性所見から、ARfDの設定の際には主に単回投与試験や短期毒性試験の投与の初期に示される症状から、それぞれ毒性変化が認められない量(無毒性量/NOAEL:no-observed adverse effect level(mg/kg/日))を求めます。これらの値は動物試験による結果であることと人においては個人差があることを考慮して、安全係数(通常1/100[1/(10[種間差]×10[個人差])])を乗じヒトに影響のない量を求め(図7)、それぞれADI及びARfDとして定められます。

図7 動物を用いた毒性試験における反応出現率と農薬投与量の関係

図7.動物を用いた毒性試験における反応出現率と農薬投与量の関係

図8.許容1日摂取量(ADI)及び急性参照用量(ARfD)算出の流れ図
図8.許容1日摂取量(ADI)及び急性参照用量(ARfD)算出の流れ図

(4)残留農薬の曝露評価と残留基準の設定

通常、作物の表面に散布された農薬は、大気中への蒸発、風雨による洗い流し、光および水との反応による分解で、散布日から時間が経つにつれて減少していきますが、その一部は収穫時の作物に残留します。ある使用方法で農薬を使用した場合に最終的に農産物に残留する農薬の濃度を把握するために実施される試験を「作物残留試験」といい、申請されている使用方法で実施された作物残留試験の結果を用いて、その農薬の様々な食品を通じた長期的な摂取量の総計がADIの8割を超えないこと及び個別の食品からの短期的な摂取量がARfDを超えないことを確認します。その上で、定められた使用方法に従って適正に使用した場合に残留し得る農薬の最大の濃度が、食品衛生法に基づき厚生労働大臣が定める「残留農薬基準」として設定されます。作物に残留し得る農薬の最大濃度を推定するに当たっては、気象条件など種々の外的要因により残留濃度が変動する可能性を考慮しています。

 

残留農薬 基礎講座① 「農薬とは?」

残留農薬 基礎講座③ 「環境への安全性の評価」

残留農薬 基礎講座④ 「農薬の使用方法を守る理由」

残留農薬 基礎講座⑤ 「残留農薬の用語解説」

 

出典:農林水産省HP

2017.10.30 更新