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カビ相談センター高鳥浩介先生の「食品とカビ雑学」講座①『カビって何だろう?』

食品カビ雑学講座2 典型的な色 小豆色 アズキイロカビ

新連載を開始します!

NPO法人カビ相談センターの高鳥浩介先生に「食品とカビ雑学」についてご寄稿頂きました。

第1回目は「カビって何だろう?」です。

次回以降は「カビの俗名」や「カビを防ぐ」などなどを予定しています。

*記事の感想や、今後こんな記事が読みたいなどのご要望のコメントをぜひお寄せください!

 

講座第1回カビって何だろう?」

さて、皆さんは「食品とカビ」からどのようなことをイメージしますか? 

カビが食品に生える姿をみて、「気持ち悪い」「臭い」「早く捨ててしまおう」などというイメージを持つ方が多いと思います。

一方では、そういえばお酒やチーズ、さらに日本の食卓に欠かせない「味噌」「醤油」「カツオブシ」などのように、役に立つカビもあるなと思う方もいることでしょう。

このように、カビと言われていくつかのイメージは思い浮かんでも、どのような生物かと言われると、はっきりとした答えを返すことはできないかもしれません。

カビは食べものに生えるということはわかるけれど、なぜ生えるのだろうかとか、どうして甘いものにたくさん生えるのだろうかといったような素朴な疑問から、そういえば、脱酸素剤を入れて乾燥させるとカビが発生しないのはなぜだろうかといった疑問もわいてくることと思います。

そうなのです。カビについては、知っていそうで知らないことがたくさんあるのです。

 

それでは、意外と知らない「食品とカビにまつわる話」を、これから進めさせていただきます。

 

 かつおぶし

写真1:カツオブシはカビから

 

そこで、カビのことを話す前に、少しだけ微生物(世間ではばい菌とも言います)について簡単に紹介します。

微生物について最初に知っていただいたほうが、カビのことがよくわかるのです。

食品には多種類の微生物が関わってきます。

微生物は腐敗、悪臭、変色などを起こしたり、食中毒や病気を引き起こしたりもしますが、食べ物を作り出すことにおいても、とても役に立っています。

特に東洋では、微生物を利用して多くの発酵食品を作っています。

それでは、その微生物なる生き物にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

ところで、さきほど微生物のことを「ばい菌」と書きましたが、この「ばい菌」とはいったいなんでしょうか? 

漢字では「黴菌」と書きます。

この漢字をみてわかる方は、すぐに「黴」は「カビ」だなと理解します。

そうです、「ばい」→「カビ」で、「菌」→「細菌」を意味するのです。

古くは、「微生物学」という学問領域をあらわす専門用語もなく、「黴菌学」と呼ばれていました。

この「黴菌学」では「細菌」と「黴」が扱われていました。

しかしその後、「細菌」より小さな生物が見つかったため、「黴菌」は「微生物」と呼ばれるようになったという経緯があります。

この用語が一般に使われるようになったのも、昭和20年前後だと思われます。

私の生まれた昭和20年代は、この分野の専門書でも「黴菌学」という用語が使われていました(少しだけ横道にそれますが、ばい菌は私にとって研究対象とする重要な生物であり、生きがいでもあり、その古い黴菌学の専門書を今も大切にしています)。

 

さて、それでは微生物という目にみえない生き物について、具体的に、皆さんがよくご存知のものから紹介していきましょう。

 1.ウイルス:ノロウイルス 肝炎ウイルス インフルエンザウイルス

 2.細菌:乳酸菌 腸管出血性大腸菌 腸炎ビブリオ

   ────ネバネバしている納豆菌をカビと思う方がいますが、これは細菌です。

 3.酵母:パン酵母 ワイン酵母 赤色酵母

   ────漬物は、この酵母なくしてはできません。

 4.キノコ:シメジ マツタケ 毒キノコ

   ────キノコがどうして微生物なのかと思われるかもしれませんが、カビと同じ微生物です。

 5.カビ:アオカビ ミズカビ コウジカビ

   ────水虫菌も、ネーミングは悪いですがカビです。

 

 

排水溝

写真2:排水溝は湿っぽく細菌と酵母の巣となりやすい。

 

キノコ

写真3:キノコには食用キノコと毒キノコがあります。

 

このように具体的な例を挙げると、なるほど、そうだったのかと、少しばかり理解していただけるかと思います。

次回は、カビ周辺の微生物について、詳しく述べていきます。

 

食品とカビ雑学講座② 「カビの俗名」はこちら

 

<執筆者>
高鳥 浩介(たかとり こうすけ)
NPO法人カビ相談センター 理事長
 
略歴
昭和47年 東京農工大学大学院獣医学専攻修了
平成14年 国立医薬品食品衛生研究所  衛生微生物部長
平成19年 東京農業大学 農学部 客員教授
平成19年 帯広畜産大学地域共同研究センター 産学官連携教授
平成19年 日本獣医生命科学大学 獣医学部 客員教授
     東京大学 農学生命科学研究科  非常勤講師
平成20年 NPO法人カビ相談センター 理事長
 
審議会・委員会
食品安全委員会 委員(自然毒・カビ毒専門調査会 副座長)
日米有毒微生物専門部会(UJNR)
(独)国際協力機構 大エジプト博物館保存修復センタープロジェクト
東京都産業技術研究センター エンジニアリングテクノロジー
 
著書
「カビのはなし」朝倉書店 2013年
「目で見る真菌と真菌症」医薬ジャーナル 2014年
「食品・環境の衛生検査」朝倉書店 2014年
「カビ苦情・被害管理マニュアル」NPO法人カビ相談センター1~4巻 2015年
 
(著者:NPO法人カビ相談センター 高鳥浩介)

2017.11.29 更新