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「トマト減塩食」の摂取で減塩効果指標が大幅に改善することを確認

カゴメ株式会社 は、女子栄養大学 栄養学部 実践栄養学科 給食・栄養管理研究室(石田裕美 教授、伊藤早苗 助教)との共同研究により、トマト減塩食(*1)の摂取で、減塩効果(*2)指標が大幅に改善することを、ヒト試験で明らかにしました。
本研究は、日本食育学会誌12巻2号(2018年4月発行)に掲載されました。

*1:減塩と香味維持を目的とし、減塩で減らした調味料(みそ、しょうゆなど)の代わりに、うま味であるグルタミン酸を含むトマトケチャップやトマトソース、トマトを使った料理を「トマト減塩料理」、そのトマト減塩料理を組み込んだ食事を「トマト減塩食」としました。
*2:減塩効果とは、尿中ナトリウム/カリウム比(次頁に解説)の低下を指します。

<まとめ>
◆本研究では、「トマト減塩食」を2週間摂取することによる、尿中ナトリウム/カリウム比の大幅な改善が確認されました。これにより、通常料理の調味料(みそ、しょうゆなど)を減らし、代わりにトマトケチャップやトマトソース、トマトを取り入れることで、減塩効果が期待できることがわかりました。
◆また、アンケート調査により、トマト減塩料理は「おいしい」かつ「調理が簡単」な料理である、という評価が得られました。
◆本研究は日本食育学会誌12巻2号(2018年4月発行)に掲載されました。

■本研究の目的
中高年に多い高血圧は、脳血管疾患や循環器系疾患の原因となります。高血圧の予防・改善のためには、食事に含まれる食塩を減らすことが望まれます(減塩)。しかし、減塩食は薄味で物足りなく感じやすいため、継続しない点が課題でした。そこで、減塩と香味維持との両立を目的とし、減塩のために減らした調味料(みそ、しょうゆなど)の代わりに、うま味であるグルタミン酸を含むトマトケチャップやトマトソース、トマトを使った料理がトマト減塩料理です。

本研究では、トマト減塩食を摂取する期間の前と後の尿中指標を評価することで、減塩の影響を確認しました。また、トマト減塩料理の、料理としての受容性評価として、おいしさと調理の難易度について調査しました。

■方法と結果
健康な成人女性を、通常食を食べる群、トマト減塩食を食べる群の2群に分け、それぞれの食事を2週間摂取していただきました。その結果、通常食群に比べ、トマト減塩食群の尿中ナトリウム/カリウム比の低下量は有意に大きな値を示しました。これより、トマト減塩食の2週間の摂取による減塩効果が確認されました。また、トマト減塩料理の「おいしさ」及び「調理の難易度」について質問したところ、89.6%の方が「おいしかった」と答え、62.8%の方が「調理は簡単だった」と答えました。以上の結果より、トマト減塩料理は調理が簡単でおいしく減塩できる料理であることが示されました。

■女子栄養大学 栄養学部 実践栄養学科 石田教授のコメント
減塩食というと「味が薄く、満足できない」「物足りなくて、おいしくない」そんなイメージが消費者の中にあり、敬遠されがちです。また、中食・外食産業の発展で、日本人は家庭での調理時間を短縮できる生活に慣れてしまいました。家庭での調理は、食べる人の健康状態に合わせて食事の質を調整できることが最大のメリットです。トマト減塩料理は、減塩を意識せず、簡単な調理でおいしい食事をとりながら自然と健康につながる可能性を持っています。

<試験の詳細>
■方法
健康な成人女性を2群に分け、通常食またはトマト減塩食を2週間摂取していただきました。通常食は、「日本人の食事摂取基準2015年版」に基づいて設計した献立(朝食、昼食、夕食、間食)を用いました。トマト減塩食は、通常食の献立のうち17の料理をトマト減塩料理に変更しました。トマト減塩料理は、通常料理に用いたみそやしょうゆ、砂糖などの調味料を半分にし、その代わりにトマトケチャップやトマトソース、トマトを用いた料理であり、通常料理に比べて食塩含量を30%以上減少させました。2週間の摂取期間の前と後で尿を採取し、尿中ナトリウム濃度、カリウム濃度を分析しました。また、トマト減塩料理の料理としての受容性を評価するため、「おいしさ」及び「調理の難易度」について、調査票を用いて調査しました。

■結果
通常食群、トマト減塩食群共に、尿中のナトリウム濃度とカリウム濃度のバランスである、ナトリウム/カリウム比が、摂取期間前に比べ、摂取期間後に有意に低下していました。この低下は、摂取期間前の食事に比べて、通常食、トマト減塩食共にカリウム摂取量が有意に増加した結果であると考えられました。この中で、トマト減塩食群の尿中ナトリウム量及び尿中ナトリウム/カリウム比は、通常食群に比べ、有意に大きく低下していました。これは、摂取期間前に比べ、ナトリウムの摂取量が減ることにより排泄量が減少した結果であると考えられました。以上の結果より、トマト減塩食の2週間の摂取による減塩効果が確認されました。

トマト減塩料理のおいしさについては、89.6%の方が「おいしい」、10.4%の方が「おいしくない」と答えました。調理の難易度については、62.8%の方が「簡単」、36.8%の方が「普通」、0.4%の方が「難しい」と答えました。これにより、トマト減塩料理は、おいしく、調理が簡単であると示されました。

◇減塩効果:尿中ナトリウム/カリウム比とは?
ナトリウムとカリウムはいずれも人間の体の中で浸透圧を調節する大切なミネラルです。食塩(塩化ナトリウム)は人間の最大のナトリウム摂取源であるため、食塩の過剰摂取により体内のナトリウムが過剰になると、浸透圧のバランスが崩れ血圧が高くなることが知られています。健康な人は余分な水やナトリウムを尿として排泄することで血圧を保つことができますが、腎機能の衰えなどにより排泄が十分に行われないと血圧が高くなります。そのような場合は、食塩の摂取を減らすことが高血圧の予防・改善に大切です。

ナトリウムとカリウムはどちらも一価の陽イオンとして体内で存在しますが、ナトリウムが主に細胞外液(血液)に存在するのに対し、カリウムは主に細胞内液(細胞)に存在し、細胞内外の浸透圧を保っています。これまで行われてきた研究で、高血圧者では食事中のナトリウム/カリウム比が低いほど血圧が低いこと(*3)や、食塩摂取量が異なる世界各地域を比較した研究において尿中ナトリウム/カリウム比が低いほど血圧が低いこと、及び、尿中カリウム濃度が高いほど血圧が低いこと(*4)が報告されてきました。よって、高血圧の予防・改善には、ナトリウムの摂取を減らすことに加え、カリウムを減少させない、あるいは増やすことも有効であると考えられています。ただし、ナトリウムを減らさずにカリウムのみを増やした場合の血圧に与える影響は限定的と考えられています。

これらの知見を踏まえ、本研究では尿中ナトリウム/カリウム比の低下を「減塩効果」と名付け、高血圧の予防・改善のために重要な指標として採用しました。

*3:V. Perez, ET Chang, Sodium-to-Potassium Ratio and Blood Pressure, Hypertension, and Related Factors,Adv. Nutr., 5, 712-741(2014)
*4:Intersalt cooperative research group, Intersalt: an international study of electrolyte excretion and blood,BMJ, 297, 319-328(1988)

<まとめ>
今回の研究より、トマトケチャップやトマトソース、トマトを用いた“トマト減塩料理”は、「おいしく」「簡単」な減塩料理であり、継続して摂取することにより体内のナトリウム/カリウム比を低下させる減塩効果を持っていることが示唆されました。

<補足>
今回の研究は、一般的な減塩食と比較していないため、一般的な減塩食に比べてトマト減塩食の減塩効果が優れていることを示すものではありません。一般的な減塩食を継続された場合においても、同様の減塩効果を得られる可能性があります。

<今後の展望>
トマト減塩料理の香味の改善やバリエーションの拡充と共に、トマト減塩料理を用いた減塩の研究や普及を進めてまいります。

2018.05.05 更新